エンジニアとしてレース現場で働くには (国内)
こんにちは
僕は約6年間SuperGTをはじめとした国内レースで電装システムのエンジニアとして働いていました。正直、学生時代の僕はHondaでF1エンジン開発に携わることしか考えてなかったので、業界に入ってはじめて各会社の立ち位置を理解しました。国内レース業界に興味を持っている人も多いと思うので国内でモータースポーツに携われる会社を一部紹介します。
① Honda HRD Sakura
説明不要!
F1、MotoGP、SuperGTをはじめ様々なレース活動。
日本でモータースポーツ に携わる仕事として、設備面、待遇面はトップクラスです。ただレース部門のあるSakuraの周りは何もありません。数年前Sakuraへの部署移管が決まった際にあるSGTエンジニアは"都落ち"と嘆いてました (笑) 。
F1中途採用も時々行われていますので興味ある人は時々HPをチェックすべきです。
② M-tec
SuperGTやF3において開発初期はホンダが仕様概要を検討、設計してます。ただしエンジンチューニングなど最終的なレーススペックに落とし込みレース毎にメンテするのはM-tecです。そのためSuperGT、SuperFormula、Formula3のレース現場にはホンダよりもM-tecメンバーが多いと思います。
③ オートテックジャパン (ATJ)
SuperGTなど多くのプロジェクトでホンダ車両サポートしています。
知り合いも働いてますがここ数年モータースポーツに積極的な印象で、本当に色んな場所でATJの方にお会いします。
③ NISMO
日産系はレース活動の大部分を子会社のNISMOに移管してます。本社からもNISMOに数名エンジニアが来ていると聞きましたが、ホンダのように本腰は入れていないためレース車両開発はNISMO中心です。NISMOオフィスで働いている人がSGTパドックにも沢山います。ただし2015年ルマン用に開発されたFF LMP1車両は例外的なプロジェクトで、アメリカの会社に委託されており、あるNISMOエンジニアは”オートスポーツで開発進捗を知った”と笑ってました。日産の工場と併設されていて、NISMO社員用の駐車場に電気充電スタンドがあります。LEAFで通勤しているエンジン屋さんがいます(笑)
職種一覧 | ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社
④ TRD
トヨタも東富士研究所での開発や本社モータースポーツ部門にも一部開発者がいますが国内レースの実働部隊はTRDとなります。実はTRDは株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(旧トヨタテクノクラフト)という特装車を作る会社のレース部門になります。個人的な偏見ですが、3大メーカの中ではトヨタ系が一番落ち着いいていて常識人が多いイメージです (笑)
採用情報 – 株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(TOYOTA CUSTOMIZING&DEVELOPMENT)
⑤ 童夢
日本を代表するシャシーコンストラクター、GT300クラスのマザーシャシ設計も童夢です。SGT500チーム活動は解散してますが、FIA F4もサポートするなど幅広いです。
2014年にトヨタ自動車に売却した風洞施設である風流舎を2019年に再取得して稼働再開しています。
⑥株式会社ルマン
F3のダラーラ製シャシやコスワース部品などレース部品の供給およびサポートを行っている会社です。本場の欧州モータースポーツと日本モータースポーツ業界を繋いでいる商社のようなイメージです。
⑦ タイヤ系サプライヤ (ブリジストン、ミシュラン、Yokohama etc.)
モータースポーツにおいてタイヤの重要性は非常に大きいです。SuperGTでは各メーカがトランスポンダーで乗り込んでいます。僕は電装システム担当でしたがレース車両の速さに直結することは少なかったです。その点、タイヤはラップタイムに直結するので羨ましいと思うこともありました。ドライバやエンジニアと一緒に開発しています。
株式会社ブリヂストン 新卒・キャリア採用情報 Bridgestone Recruiting Site | 採用情報 | 株式会社ブリヂストン
⑧ 各種部品サプライヤ
Bosch Engieering K.K. :電装システム
ボッシュエンジニアリング株式会社の採用・求人情報-engage
GAT:ハーネス設計、製作
エンドレスアドバンス:ブレーキパット
⑨ 各レースチーム
レースパドックで働きたいならレースチーム所属が一番でしょう。
興味ある方は、各チームHPに書いてある連絡先から直接コンタクトとることをお勧めします。一部のチームは返事をくれることもあります。僕は大学生の時にSuperGT, F3に参戦している某チームに質問して、その流れで訪問させてもらったことがあります。
(当時は一年間のレース帯同のご提案をもらいましたが、個人的な都合で辞退させて頂きました。思い返すと本当に勿体無かった・・・もしチャンスが見えた場合は飛びつきましょう!)
基本的に有名どころを列挙しました。ただレースへの携わりかたは本当に色々あります。小規模な会社は無数にありますし、チームと直接契約しているフリーエンジニア (メカニックも同様)沢山います。彼らはレースウィークだけトラックサポートしては、それ以外の時間は別の仕事を持っています。
一番いいのは現場で働いている人に会ってもらい話を聞くのが一番です。